トップ > インプレッション > Mercedes-Benz S500-6.0 AMG
44_benzs500_6_amg.jpg
Mercedes-Benz S500-6.0 AMG
SPECIFICATION
"感無量"
Mercedes-Benz S500-6.0 AMG
「鞭打てば響き、仰け反る。撫で上げれば囁き、肩寄せる」・・・・・・カシッとした剛性感の上に、ネットリと湧き上がるトルク、それでいて全てに節度と機敏に満ちた加速のフィーリングは最早、説明不要のエクスタシーである。「SはV12をロングで、後ろに乗る」という既成概念を大きく覆す意外性に、往年のAMGマジックを感じとることが出来る。
大柄なボディには想像も付かない、センシチブなレスポンスと加速の秘密は、その心臓部にある。クルマ好きが絶賛する119型V8・5000CCエンジンに、AMGが精魂込めたこの6リッターモデルは、通称「ロクマル・エンジン」と呼ばれ、希少価値が高く垂涎の的である。V8のスポーツ性と大排気量のマッチングが織成す381ps・59kgmの独特の加速感は、圧巻であり、鈍重なV12とは別モノである。一気筒毎の存在感が伝わってくる。
足回りも、Sクラスのネームを崩すことのない、実に熟成されたものである。乱暴や柔な表情は皆無でありながら、あらゆる状況がステアリングに伝わってくるナイスな仕上りになっている。幸運なことに以前、西独で同じクルマの後部席に乗る機会があった。並居るスーパーカーを馬なりに追い越していくアウトバーン劇には度肝を抜かれた。つまり、高速コーナーや欧州の濃霧に減速を余儀なくされるシチュエーション下でも、この“S500-6.0 AMG”は同乗者に不安を与えず、長距離を安全且つハイアベレージで走り抜ける、まさにエグゼクティブな要人そのものなのである。もちろん、アクセル一踏み毎のレスポンスは、我が国の高速道では、悪魔の囁きが・・・・・・。しかし、そうした悦楽はこの世代までのものであり、残念ながら今の“AMG”には・・・・・・。過ぎ去った時間は取り戻すことは出来ない。また過ぎ行く時間を止めることも出来ない。Daishoイチ押しの名車である。
尚、当車両は1994年式(走行31000km 希少D車)。ウッドの光沢や本皮の風合いなど、細部にわたる作り込みの良さは、W140のアイデンティティである。そして何よりも、美しい“60”エンジンルームを開け放つ時の、この上ない悦びを味わって頂きたい。
- Copyright (C)2003-2004 DAISHO AllRight Reserved -